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M&Aで一部事業を売却する場合、売却対象事業に従事している従業員には事業譲渡することをいつ情報開示すればよいでしょうか?

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相談の背景

M&Aで一部事業を売却予定です。

質問

売却対象事業に従事している従業員には事業譲渡することをいつ情報開示すればよいでしょうか?

回答

売却対象事業に従事する従業員を売り手が継続雇用するか買い手が対象事業と一緒に引き受けたいかどうかで情報開示の時期を変える必要があると考えています。よくある2つのケースを以下に説明します。

(1)売却対象事業に従事する従業員を売り手が継続雇用するケース
秘密保持の観点から事業譲渡後に情報開示を行うことが好ましいと思われます。取引前後で売り手が従業員を雇用する関係は変化しないため、事前に情報開示を行う必要も特にありません。
ただ、取引後に対象従業員の業務内容は変わるため、不満や不信を持った従業員が取引後に離職する可能性はあります。

(2)売却対象事業に従事する従業員を買い手が対象事業と一緒に引き受けたい&売り手が従業員を解雇したいケース

このケースは、売り手が対象従業員を解雇、買い手が対象従業員を本人の希望があれば新規雇用するという流れになります。
事前に対象従業員から転籍の同意を得られることが譲渡契約成立の条件と買い手から要望されることも多くあります。
そうなると当然ながら契約前に対象従業員に事業譲渡検討の情報を開示しなければなりません。

いずれのケースにしても、どこで働くか決めるのは従業員自身であり、売り手や買い手の希望が優先されるものではないことを忘れないようにしなければなりません。

回答者
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三村尚(みむらひさし)
M&Aアドバイザー
M&Aシニアエキスパート。香川県高松市生まれ。横浜国立大学経営学部を卒業後、百十四銀行、帝国データバンク勤務。2012年より、みどり合同税理士法人グループ勤務。延べ2,000社の企業評価を行った経験を活かし、M&Aを中心とした事業承継サポート、経営コンサルを行う。これまでに40件超のM&A取引の支援実績あり。

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