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M&Aを検討する中で事前準備として、退職金規程を作っておいた方がよいのでしょうか?

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相談の背景

M&Aで会社の売却を検討しています。

M&Aアドバイザーから事前準備資料として退職金規程の提出を求められましたが、当社は退職金規程がありません。

質問

M&Aを検討する中で事前準備として、退職金規程を作っておいた方がよいのでしょうか?

回答

退職金規程は作っておいた方がよいと考えます。
買収監査の際に想定外の退職給付引当金(簿外負債)の存在を主張され、売買価格(株価)を引き下げられる可能性があるためです。

会社の売買価格(株価)を決定する際、売却時に全社員が退職すると仮定した退職金支払予定額(退職給付引当金)を株価から差し引くことが一般的です。
売却時までに積み上がった退職給付引当金は売り手側が負担するという考え方です。

退職金規程のない会社で賃金規程(給与規程)の中に「退職金支払額は退職者の功績に応じて代表取締役が決定する」などの項目を入れているケースを目にします。
退職金の計算方法を明示した退職金規程がない場合には、過去の退職金支払実績を元に退職給付引当金を試算することが一般的です。

もし、過去に代表取締役の主観に基づいて根拠のない多額の退職金を支払った実績があったとします。その場合は、過去の支払実績にもとづいて多額の退職給付引当金の計上を求められる、すなわち会社の売買価格(株価)が減少する可能性があります。

そのため、過去の退職金の支払実績がルール化しないよう、実態に合った退職金規程を作成しておくことをおすすめします。
なお、中小企業においては、中小企業退職金共済金制度(中退共)などを利用していることも多いと思います。その場合には、賃金規程(給与規程)に「退職金は中小企業退職金共済金制度によって支払う」などの項目を追加記載することも考えられます。

回答者
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三村尚(みむらひさし)
M&Aアドバイザー
M&Aシニアエキスパート。香川県高松市生まれ。横浜国立大学経営学部を卒業後、百十四銀行、帝国データバンク勤務。2012年より、みどり合同税理士法人グループ勤務。延べ2,000社の企業評価を行った経験を活かし、M&Aを中心とした事業承継サポート、経営コンサルを行う。これまでに40件超のM&A取引の支援実績あり。

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