MA背景画像

M&Aで会社を売却するまで5年程度の準備期間がありますが、どのような準備をすればよいでしょうか?

更新日:

相談の背景

現在60歳のオーナー経営者です。

65歳で引退を考えており、後継者不在のため、会社をM&Aで第三者に売却したいと思っています。

質問

M&Aで会社を売却するまで5年程度の準備期間がありますが、どのような準備をすればよいでしょうか?

回答

買い手側の目線で以下の点を意識した事前準備をするとよいと思います。
(1)安定して利益を出す
(2)社長が不在でも運営できる組織づくり
(3)明朗な会計処理
(4)株主や取引先など利害関係者の整理

(1)の「安定して利益を出す」については、M&Aの準備に限った話ではありませんが、買い手としては業績が安定していることは安心感に繋がり大きな魅力です。

(2)の「社長が不在でも運営する組織づくり」を意識しなければならない理由は、売却後にオーナー社長が引退した際、売却対象企業の運営に大きな影響がでそうな会社を買い手が避ける傾向にあるためです。
特に売上に大きく影響する取引先(販売先・仕入先)との対応を全て社長が行っており、社長の属人性に依存していると思われるような取引は少なくしていくことが好ましいと考えます。事務や経理に関しては、むしろ買収会社の方が管理を得意としているケースが多く、問題視されることは少ないようです。

(3)の「明朗な会計処理」は、買い手候補先が財務資料に基づき、自社を正しく評価してもらえるようにするものです。用途不明の支払や何年も金額の変わらない売掛金など、説明ができない項目があったり、処理が放置されている項目があったりすると買い手に不信感を抱かせ、自社の評価を下げる可能性があります。

(4)「株主や取引先など利害関係者の整理」は、例えば株主が相続などで分散してる場合の株主集約や付き合いで取引の多くなった金融機関の整理などです。特に株主が多い場合には、後に株式売却を行う際、合意を取り付ける人数が増えたり、場合によってはM&Aに反対されることも考えられるので、早めに準備を進めることをおすすめします。

上記は一般的な準備のポイントですが、質問者自身が買い手側の立場で自社の改善点を考えて、一つ一つ改善していくことが大切です。また、売却する時に全ての改善点が改善されていないとしても、自社の改善点を把握していることは買収先の高評価にもつながる可能性が高いと考えます。

回答者
ユーザー画像
三村尚(みむらひさし)
M&Aアドバイザー
M&Aシニアエキスパート。香川県高松市生まれ。横浜国立大学経営学部を卒業後、百十四銀行、帝国データバンク勤務。2012年より、みどり合同税理士法人グループ勤務。延べ2,000社の企業評価を行った経験を活かし、M&Aを中心とした事業承継サポート、経営コンサルを行う。これまでに40件超のM&A取引の支援実績あり。

関連記事