トラブルの内容
M&A取引の2年後、M&Aで買収した会社に税務調査が入りました。
買収前の会計処理が問題となり、買収対象会社が追徴課税を支払う結果となりました。
買い手側は、売り手側が経営していた際の会計処理が原因として、売り手側に追徴課税の補填を求めました。
売り手側は、買収後の追徴課税であり、売り手側が負担するものではないと補填を拒否しました。また、M&A契約書で取引後1年間のトラブルについては、売り手側が責任を持つという内容があり、2年後の追徴課税は責任外という主張もありました。
買収前の会計処理に関する買収後の追徴課税を売り手側が負担するか、買い手側が負担するかもめた事例です。
トラブル回避策
筆者はトラブルになった主な理由は以下の二つと考えます。
(1)容易に想像されるM&A後の税務調査時の追徴課税について、売り手と買い手で取り決めがなされていなかったこと。
(2)M&A取引契約書の内容が不足していたこと。
M&A後、買収会社(買い手)や買収対象会社に税務調査が入ることはよくあるようです。
本件のように買収後、買収対象会社に税務調査が入り、追徴課税の支払いを求められるケースもあります。
事前に追徴課税が発生した際の売り手と買い手の責任分担を決めて、M&A契約書に記載しなければ、本件のようなトラブルに発展する可能性は高いでしょう。
本件事例は、筆者が仲介やアドバイザーをおこなった案件ではなく、トラブルになった後に売り手と買い手とどちらが追徴課税を支払うのが妥当か当事者に意見を求められました。
M&A契約書を見ましたが、専門家の視点からすると非常に内容が薄く、本件の追徴課税以外にもトラブルが発生した際にはもめそうな契約書でした。
なお、筆者がお手伝いした案件では、売り手側が経営していた時期の会計処理に関する追徴課税はM&A取引後であっても売り手側が負担するという契約としていたケースが多かったです。
売り手側の免責期間については、本件のように取引後1年間とするケースが多かったのですが、追徴課税の補填については免責期間の適用外としていました。
注意喚起
この投稿は、2022年6月時点の情報です。
ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。