相談の背景
M&Aで会社を売却することを検討しています。
買い手候補企業の買収監査(デューデリジェンス)を受けることとなり、詳細資料の開示を求められました。
従業員と交わした雇用契約書もしくは労働条件通知書の開示を求められましたが、従業員はいずれも前経営者時代からの長年の勤続者であり、雇用契約書も労働条件通知書もありません。
質問1
雇用契約書もしくは労働条件通知書がないことを買収候補企業に伝えてもよいのでしょうか?
質問2
今から雇用契約書もしくは労働条件通知書を作成したほうがよいのでしょうか?
回答:質問1
買収候補企業に正直に雇用契約書もしくは労働条件通知書がないことを伝えた方が好ましいと考えます。
嘘をついたことが後で分かると買収候補企業が不信感を抱くためです。
他にも隠していることがあるのではと考えた買収候補企業はリスクを大きく見積って買収希望価格を引き下げる可能性もあるため、事実を隠すことが売り手に取って不利益となることも想定されます。
回答:質問2
今からでも遅くはないので雇用契約書もしくは労働条件通知書を作成しておくことが好ましいと考えます。
急に書類の整備を行うことに対して従業員に不信感を抱かれないように配慮して書類の整備を行う必要がありますが、会社を売却するしないに関わらず、労働条件を書面で交わしておくことは労使間の無用なトラブルを避けるために大切なことですし、法的な義務でもあります。
労働基準法第15条1項で労働条件に関する決められた項目を記載した書面の交付が義務づけられています。
社会保険労務士や弁護士など法律に関する専門家に相談し、現状の労働条件にあった雇用契約書もしくは労働条件通知書の作成をおすすめします。