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給与規程(賃金規程)、雇用契約書がない場合には作成した方がよいでしょうか?急に作成すると従業員に怪しまれないでしょうか?

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相談の背景

M&Aで会社の売却を検討しています。

M&Aアドバイザーから事前準備資料として給与規程(賃金規程)、雇用契約書もしくは労働条件通知書の写し、退職金規程の提出を求められました。

当社は、給与規程および退職金規程は作っておらず、従業員と雇用契約書も交わしていません。
また、採用時に労働条件通知書は交付していますが控えがないため確認ができません。

質問

給与規程(賃金規程)、退職金規程、雇用契約書がない場合には作成した方がよいでしょうか?急に作成すると従業員に怪しまれないでしょうか?

回答

給与規程(賃金規程)、退職金規程、雇用契約書はM&Aの事前準備として作成した方がよいと考えます。
交渉が進んで買収監査を受ける際には必ず提出を求められる書類ですし、労務関連の書類が整備されていないことは、買い手が売り手を評価する上でマイナスに作用する可能性が高いためです。

急に作成すると従業員に怪しまれないか、との指摘はもっともですが、給与規程や雇用契約書を作成してルールを整備することは従業員にとっても安心感があり、プラスになることです。
社会保険労務士に指摘を受けたため改善するなど、明確な理由を従業員に伝えた上で行えば、怪しまれることは少ないと考えます。

実際に筆者がこれまでに関わった売却案件でも、売却相談時に給与規程(賃金規程)、退職金規程、雇用契約書などの労務関係書類が整備されていなかったため、事前準備として作成したケースが幾つかあります。
ただ、それが原因で従業員にM&A検討の事実がばれてしまったことはありません。

回答者
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三村尚(みむらひさし)
M&Aアドバイザー
M&Aシニアエキスパート。香川県高松市生まれ。横浜国立大学経営学部を卒業後、百十四銀行、帝国データバンク勤務。2012年より、みどり合同税理士法人グループ勤務。延べ2,000社の企業評価を行った経験を活かし、M&Aを中心とした事業承継サポート、経営コンサルを行う。これまでに40件超のM&A取引の支援実績あり。

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