相談の背景
後継者不在の会社のオーナー経営者です。
60歳以降に後継者をどうするか模索してきましたが、親族承継も従業員承継も難しく、後継者不在のまま来年70歳になります。
清算廃業かM&Aで第三者に売却するか迷っています。
質問
M&Aで会社を売却するかどうかを検討する際には誰に相談すればよいでしょうか?
回答
M&Aの経験者に相談することがよいと考えます。ここでいうM&Aの経験者とは、自分自身がM&Aによる売却を行った元オーナー経営者、M&Aのサポートを数多く行った実績のある専門家です。
M&Aの売却経験者に「誰にM&Aの相談をしましたか?」という質問をした際、2020年以前は回答上位が顧問税理士、金融機関、M&A専門会社でした。
恐らく本回答2022年8月時点でも回答上位は大きく変わっていないと推察されますが、今後は売却経験者や公的機関(事業承継・引継ぎ支援センターなど)の回答が増えてくるものと思われます。
以前はM&Aの売却経験者が少なく、また売却を公表していない(隠していた)案件も多かったため、経験者に話を聞こうと思っても周りには見当たらないことが一般的でした。
また、M&Aや事業承継を相談できる公的機関が本格的に整備されたのは2010年代に入ってからですので、取りあえずM&Aのことが分かりそうな相談相手は、取引のある顧問税理士や金融機関、M&A専門会社しかなかったのでしょう。
筆者はM&Aアドバイザー歴10年の中で数百人の経営者からM&Aでの売却相談を受けましたが、後継者不在を非常に繊細な問題と考えて、金融機関や顧問税理士など自社の利害関係者には相談できないという経営者が相当数いらっしゃいました。
この10年でM&Aの経験者は大幅に増加しているほか、相談窓口となる公的機関の整備も進み、インターネットでのM&A情報も充実するなど、売却前に情報収集がしやすい環境となっています。