相談の背景
M&Aで会社の買収を検討しています。
買収対象会社(売り手)のオーナー経営者とのトップ面談が終わり、当社(買い手)と経営観や社風が合いそうな感触を得たため、基本合意書締結&買収監査(デューデリジェンス)に進む予定です。
買収対象会社(売り手)は、当社(買い手)と同業の機械部品製造販売業で後継者が不在のため売却希望です。
当社と取引関係があるため、売り手の概要は把握していますが、取引金額は少なく、営業エリアも重なっていないため、売り手の社員や内情についてはほぼ分からない状態です。
質問
M&Aで買収後に買収対象会社の多数の社員が急に退職してしまうことはないのでしょうか?
回答
会社が他社に買収されたことが直接的な理由で買収対象会社の社員が退職するといった事例はあまり聞いたことがありません。
社員にも生活があり、転職することはリスクを伴うため、不安には思ってもしばらく様子を見ることが多いようです。
しかいながら、買収後に買収会社(買い手)の経営方針が急に著しく以前と変化した場合には、変化についていけなかった社員が退職するケースをよく耳にします。
今回相談のケースでは、売り手と買い手の経営観や社風が似ているということなので退職者が続出する可能性は低そうです。
ただし、経営観や社風が似ていると言っても全く同じではありませんので、買収後1年程度は買収対象会社の状況や自社(買い手)との違いを見極める期間として、大きな改革は様子を見ながら慎重に進めることが大切です。
買収後の統合作業をPMI(Post Mager Integration:ポスト・マージャー・インテグレーション)と言いますが、M&A後に買収対象会社の業績を伸ばしている、すなわちM&Aを成功させている買い手はPMIが上手く、買収対象会社の社員に過度なストレスがかからないよう徐々に買い手の社風に馴染ませている傾向が見られます。