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事業売却(事業譲渡)でM&Aを行う際、売却対象事業で使用している賃借店舗の賃貸借契約はどのように扱うのでしょうか?

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相談の背景

事業売却(事業譲渡)によるM&Aを検討しています。売却対象事業では、複数の賃借店舗で小売業を営んでいます。

質問

事業売却(事業譲渡)でM&Aを行う際、売却対象事業で使用している賃借店舗の賃貸借契約はどのように扱うのでしょうか?

回答

売却対象事業に含まれる全ての賃貸借契約について、借主を売り手から買い手に変更して、新たに賃貸借契約を締結する必要があります。

買い手は事業譲渡後に賃借店舗を継続して使用できなければ業務に支障がでるため、M&A契約書(本件では事業譲渡契約書を想定)に賃借店舗を継続利用できること、すなわち賃貸借契約が引き継げることをM&A成立の要件としていることが一般的です。
事業譲渡M&Aを無事成立させるため、買い手が円滑に賃貸借契約を引き継げるように売り手が貸主と買い手の間を取り持つなど、売り手の協力が欠かせません。

賃借店舗が多ければ多いほど、賃貸借契約の切り替えも大変になり、売り手・買い手双方の負担は増えます。
賃借店舗が多い場合には、今回想定している事業譲渡スキームではなく、会社分割によって売却対象事業を分社化して、分割会社(=売却対象事業)を株式売買で買収する会社分割スキームを採用することも考えられます。

買収監査(デューデリジェンス)で賃貸借契約の内容を十分に確認し、M&Aの取引スキームを検討しましょう。

回答者
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三村尚(みむらひさし)
M&Aアドバイザー
M&Aシニアエキスパート。香川県高松市生まれ。横浜国立大学経営学部を卒業後、百十四銀行、帝国データバンク勤務。2012年より、みどり合同税理士法人グループ勤務。延べ2,000社の企業評価を行った経験を活かし、M&Aを中心とした事業承継サポート、経営コンサルを行う。これまでに40件超のM&A取引の支援実績あり。

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