相談の背景
M&Aで他社の買収を検討しています。
買収対象会社について、当社で独自に事前調査をしたところ、買収対象会社が過去に行政処分を受けていたことが発覚しました。
質問
行政処分を受けている会社をM&Aで買収する際、どのような点に気を付ければよいでしょうか?
回答
売り手が行政処分を受けたことを故意に隠していないか、自社(買い手)が把握していない行政処分を他にも受けていないかなどを確認しておく必要があります。
当然ながら行政処分を受けたことを故意に隠すような売り手は信用できないため注意が必要です。
買収監査を含めて売り手からの情報開示を受ける中で、行政処分を受けたことがあるか、受けた場合にはその内容はどのようなものか、管轄官庁からの行政処分の通知書類も開示してもらい、行政処分の内容を確認しておきましょう。
一言で行政処分と言っても、各行政機関で様々な許認可があり、処分内容も多様です。
許認可は、建設業許可、運送業許可、産業廃棄物処理業許可、酒類販売業許可、飲食店営業許可、旅館業許可、理容師・美容師免許などがあります。
処分の内容や名称は管轄官庁によって様々ですが、一例を上げると戒告、業務改善命令、課徴金(反則金)、業務停止、登録抹消(免許取消)などがあります。
業務停止や登録抹消など、営業の継続に支障が出るような重い行政処分を受けている場合には、行政処分を受けた原因、その原因が根本的に改善されているかなどを慎重に確認する必要があります。
重い行政処分は、インターネットでの公表を含めて過去にさかのぼって検索することができる場合が多いのですが、軽い行政処分についてはそもそも公表されないものもあるため、当事者(売り手)に確認するしか方法がありません。
行政処分を受けたことがないと回答があった場合でも口頭での回答ではなく、質問シートやメールのやり取りなどを保存しておきましょう。
万が一、後日行政処分を受けたことが発覚した場合、事前に言った言わないの水掛け論にならないよう「行政処分を受けたことがないと回答があった」証拠を残すためです。